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『或る男の悲劇』

 貧しい男がいた。男は人づてに、牛の舌を焼いたものが大層美味であるという話を聞き、それが食べたくて我慢ならなくなった。
 だが男がそれを口にするにはあまりに高価であった。悩み果てた男は知恵を絞り、こう考えた。

「人間の舌も牛の舌と同じように美味いのではないか。人間ならそこいらじゅうに歩いている。」

 しかし心優しいこの男には人を襲うことなどできなかった。男は出会う人出会う人になりふり構わず尋ねてまわった。

「わたしは舌を食べてみたいのです。どうかあなたの舌を食べさせてくれないか。」

 もちろん自らの舌をくれる者などいるはずもない。それでも男は諦め切れなかった。最早取り憑かれていると言ってもよかった。

 男は最後の手段に出た。自分の舌を切り取り、それを焼いた。次第に香ばしい香りが漂ってきた。いい頃合だ。男はそれを口に入れた。
 男にはそれを味わうための舌は無かった。


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